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ケーススタディ

2006年02月03日 17:27

ケーススタディというのがあります。
最近特によく耳にするような。
まぁ、ある特定の事例を詳細に分析して、
そのなかから一般的に使えるようなことを引き出すことです。

失敗からも成功からも学ぶことはたくさんあります。
何かについて、それをよく調べ、考えることは非常に重要です。


さて、こんな本を読んでみました。
『イワン・イリッチの死』
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トルストイ作です。
有名どころの作品は、学生のうちにいくつかは読んでおきたいのですよ。
ほんまはもっと有名な作品を読んでみたかったのですが、
まずは量的に少ないところからということで。

いやはや、これは。いっきに読んでしまった。

話としては、普通(ものすごく金持ちでないという意味で)の人の、生と死。

普通といっても、我々の感覚からするとエリートです。
親がそれなりにステータスがあり、
あまり苦労をすることもなくいい職業につき、
その仕事を要領よくこなし、やりがいも感じ、
きれいで地位もある女性と結婚し、
プライベートは友人と上品におしゃれに過ごし、
多少うまくいかないことがあってもなんとかなる。

そんな感じです。

彼にとっても人生はそれで完全に上手くいっているものなのです。
人格的にも、特に問題なく、いわゆる善人です。
ほんまの上流階級にはなれなくても、一般よりはそれなりにええ暮らしができている。

これは、我々が今求めていることとあまり離れないのではないですかね。
ちょっと贅沢をできるぐらいの、平和な生活への憧れはあるのでは。


しかし、ちょっとしたきっかけで、彼の身体は不治の病におかされます。

前にも言ったかもしれませんが、死に対して、
人は5つのステップを踏むと言われています。

拒否、怒り、取引、落ち込み、諦観

です。イワン・イリッチにもそれはある程度当あてはまっているようでした。


まず、拒否、怒りがありました。

きっとよくなるはずだ。
なぜ私なのか。
なぜ他の人は何もわかってくれないのか。

そのような拒否や怒りがありました。孤独もありました。
その死や苦痛を意識的に意識しないようにもしていました。
でも、それは無理でした。


取引はあまり出てこなかったですな。
神頼みのような感情だそうですが。


落ち込みは、私には、とてもはっとさせられるものでありました。

死にたくない。なぜ、私が死ぬんだ。
いやだ。いやだ。

これは、私も思いそうです。
弱い人間ですからね。いや、人間が弱いのかも。

ただ、それ以降の思考の変遷がおもしろかった。

生きるといっても、どこへ?
また、あの生活に戻って、それはなんになるのか?

仕事での成功は自尊心を満たし、
趣味での成功は虚栄心を満たす。
それだけではないのか?

私の求めている、生とはなんだ?
死を覆い隠す、大きなからくりでしかないのではないか?

というように、そもそも、自分がすがりつきたいものはなんであるかを考え始めます。


そして、諦観。

彼は、生をすがりつくものではないと感じます。

死の、二時間前。

生に対する無条件の肯定がなくなったとき、
それを奪うはずの死もなくなります。

死ではなく光があった。

と書いてありました。
しかし、キリスト教的な描写はありませんでした。
(そもそも、キリスト教に癒しの奇跡の話があることは矛盾しているように感じます。
あと、トルストイがこれを書いたのは、宗教的に大きく回心した後なのだそうですが。)

ただ、光があった、とだけ。

トルストイを何も知らないのですが、この本では非常に文章が簡潔です。
誇張も修飾もないです。
なので、非常に切迫するものがありました。


東西を問わず、死を受け入れるということは、
生への執着を捨てる事にあるようです。

ただ、その心境にはなかなかたどり着けそうもないですな。


死は、我々が、
おそらく経験するものではなく、
必ず経験するものです。

ビジネスにおけるケーススタディは、
これから自分におこるかもしれない状況への対策を練るものです。
まぁ、すでに起こっている事への対策である場合もありますが、
一般にはそれでは遅いでしょうし。

では、確実に来るものに対してそのケーススタディをすることは、
理にかなっているのではないですかね。
いろいろな人が死に臨む、その臨み方を見る事はきっと重要です。


量的には100ページぐらいで、すぐ読み終わってしまうので、
こんなものを読んでみる事は、無駄にはならんのではないですかね。

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